新世界くしゃみラプソディ

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【まほやく】ブラッドリー自由研究帳

ムーンマーガレットをきみへ(ネロ、お誕生日おめでとう)

 

9月8日。ネロの誕生日。

折角のとくべつな日なんだから、彼をお祝いするハッピーな記事を、絶対に書こうと決めていた。幸い、我ながらおもしろい題材も思いついていたから、あとはそれなりに時間をかけて、ネロを語れば良いだけのはずだった。

 

……けど、全然ダメだった。どんだけ書いても、書いても書いてもまとまらない。むしろ言葉を尽くせば尽くすほど、ネロの本質からどんどん離れていってしまう気すらした。下手くそな言葉とつまらないネタだけが上滑る文章。それを推敲するのはとにかく最悪の気分だった。

「ネロの何が良いのか」……ただそれを語りたいだけなのに、全く言葉がままならない。まほやくにハマって数ヶ月、それなりにネロのことは分かっていたつもりだったけど、本当は全然理解できていなかったのかもしれない……その事実がさらに私を落ち込ませる。

 

結局、最初の原稿は全部封印してしまいました。だからここから下に書いてあるのは、初心にかえってネロに向き合うしかなかった、ぼろぼろ限界オタクの末路の記録です。まとまりもなければ結論もない。ネタを仕込めてないから、本当に面白くもない。

……でも、わかりたかったんだよな、ネロのこと。ネロを諦めきれないから、今もキーボードの前から離れられないでいる。

 

 

ネロの親愛ストーリーを読むとき、何故か息を止めてしまう

 

ネロの親愛ストを読むときは、何故か今でも緊張してしまう(ちびちゃんのモーションが可愛いことだけが心の支えだ)

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特にネロの部屋に踏み込む5話からは、正直、指が強張ってしまう。

 

無視されりゃ寂しくて、求められりゃ気詰まりだ。人の近くで生きられないくせに、人から遠ざけられると心が千切れそうになる。

膜を通してるくらいが、この世界は丁度いい。俺にとって膜は料理さ。料理を求められて、差し出すくらいが丁度いい。

(親愛ストーリー・10話)

 

……ああ、やっぱり好きだ。

都志見先生の言葉の選び方も、並べ方も全部好き。ひたすらに心がぎゅっとなる文字の並び。優しくて綺麗で、とにかく切ない。

 

ネロは他人に失望しながら他人に期待することがやめられないタイプなので、それが料理を提供して受け取ってもらうという行動になっている感じです。

(spoon.2Di・キャラクター制作秘話コメント*1

 

「料理を作れるから」必要とされるし、「料理を作るから」人の近くで生きられる。……ネロは、誰かと生きるために、明確な理由が必要な男の子です。そしてその「理由(=料理)」を盾にして、ネロは直接誰かを求めず、直接誰かに求められないように生きてきました。傷つかず、傷つけないための、彼の処世術です。

 

でも。ネロをこういう一面だけで語るのは、なんだか勿体無いんですよね。だってこれだけだったら、『優しくて、不器用で、ちょっと繊細な男の子』じゃないですか。……違う、ネロってもっと「色々」ある。ネロはただの「繊細な男の子」じゃない。

 

……例えば、

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突然自分の料理をどやり出しちゃう、お茶目なネロとか。

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過去をチラつかせてくる、やんちゃなネロとか。

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……こういうズルいネロも、ネロで、

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それからこれも。これもネロだ。

 

私は、ネロの気さくな表情が好きだ。にかっと目を細めて口端を上げる、いたずらっこなネロも好きだ。だから、『優しくて、不器用で、ちょっと繊細な男の子』だなんて、そんなテキトーなひとことで、どうしてもネロをまとめたくない。ネロの魅力って、ネロの美しさって、そんな薄っぺらくなんかないはずなんです

 

 

ネロの深淵は数百年の時を超えて

全賢者様が察していることですが、ネロの魅力を深めているのは、盗賊団時代の過去エピソードです。だからネロを理解したいなら、ブラッドリーに話を聞くのが手っ取り早い。本来は、そのはずなんだと思います。

しかしブラッドリーって、本当の本当の本当に、ネロのことをわかってないんですよね。私の本性はブラッドリー推しオタクなので、だからこそ、ばしっと言ってやります。「鈍感にもほどがある」

……だってブラッドリーは、「ありがたみをうまく示せなかったから」「雑に扱ってしまったから」、自分からネロが離れていったと思ってるんですよ?……確かに、ブラッドリーはガサツな男です。でも、間違いなくそれは直接的な理由じゃない。だって、だって。

 

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……ただそれだけの理由で、こんなに苦しんでしまうこと、あるわけないじゃないですか。

 

ネロはブラッドリーに料理を褒めて欲しくて盗賊団にいたわけじゃない。ありがとうって言われるためだけに盗賊団にいたんでもない。優しく扱ってもらうために盗賊団にいたんじゃない。

ネロがして欲しかったのは、ネロがしたかったのは、きっとそんな単純なことじゃない。

 

……ネロが本当にしたかったのは、たぶん。

 

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認めてもらった「俺」と、恥ずかしくねえ「俺」。ブラッドリーはかつて、「ネロの料理」じゃなくて、ネロ“自身”への評価をしたんです。そしてネロは、お前に見合う男になりたいと、自分“自身”について願ったんです。

 

……この頃のネロは、料理を膜にしなくてもよかったんだ。人の近くで生きて眠って、ご飯を食べて、望んだ誰かと運命を共にする。この頃のネロは、それができたんだ。

きっと本当は、ネロはそれが好きなんです。誰かのそばにいて、誰かに触れて、ささやかな幸せを共有できる価値。かつて失ってしまったその幸せを、ネロは今も、ずっとずっと欲してる。

 

 

いつか手にする「ひとつ」と「すべて」

5ヶ月前。公式がネロに冠したのは、『諦念』という言葉でした*2。私はこの時初めて知ったのですが、『諦念』という言葉には、「諦めること」のほかに、「真理を悟り、迷わない心」という意味があります。

ネロの『諦念』はきっと2つ目の意味です。半分は個人的な祈りが混じっているかもしれないけど、私はそう思っています。ネロはまだ、誰かに求められる幸せも、誰かと生きる幸せも、諦めてなんかない。だって、“相棒を名乗って、恥ずかしくねえ男でいるよ。絶対に。”って言葉。あれは間違いなく《約束》じゃないですか。でもネロが今も魔力を失ってないってことは、“恥ずかしくねえ男でいる”ことを、ネロはまだ諦めてないってことです。

 

そうだ。ネロは諦めてない。これだけ悩んで苦しんで傷ついてぼろぼろになっても、誰かと生きることをネロは諦めてない。

親愛ストーリーに心を戻せば、「揺らぐ存在の狭間で」ネロは賢者の手を握るのです。繋がることを諦められないから、やっと手を延ばして、その指先に触れる。言葉よりも台詞よりも先に、心の在り処を体温で探る*3。密やかに、でも烈しく。彼の切望と祈りが、この夕暮れの部屋には確かにある。

 

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……綺麗だなあ。

本当の本当に、綺麗だと思うんです。

 

 

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……ネロはこんなこと言ってたけど、「無駄なんかじゃない」って一番知ってるのはネロのはずです。盗賊団での日々も雨の街での日々も全部無駄じゃないって、一番祈ってるのはネロのはずなんです。

そして、これから過ごす魔法舎での毎日だって、きっとそうなんだ。今日も明日も、全部きみのかけがえない1日になっていくんだよ


《アドノディス・オムニス》は、ひとつは全てを学ぶため」

『諦念』は、真理を悟り、迷わない心」

ひとの人生の何倍も生きて、ひとの何倍も悩んで傷ついたきみが、いつかその手で「すべて」に触れる瞬間。その瞬間を、私たちは見られるのかなあ。

……見届けたいな。だってネロは、絶対幸せになるべきひとだから。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

ああ、もう少しで日付が変わってしまう。悔しいけど、これ以上推敲する余裕は無さそうです。

当初の原稿を捨ててから、それなりに足掻いたつもりだったけど、結局全然まとまらなかった。ネロのかっこいいところ、美しいところ、綺麗なところ、可愛いところ。もっとちゃんと叫びたかったんだけど。

特に可愛いところは全く書けなかった。仕方ないから可愛いスクショを貼る。かわいいね。

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……来年の今日、またこういう記事を書けたらいいな。この記事はずいぶんボロボロだけど、それまでは残しておこうと思います。

 

 

お誕生日おめでとう。

これまで生きていてくれてありがとう。

どうか、ネロの新しい一年が、もっとたくさんの幸せに包まれますように。

 

 

最後に。

大好きなアルバムから、とっておきの一曲を。

‘愛をもっと、愛をもっと
 
 
 
 
‘愛をもっと 愛をもっと’って
 
暗闇でずっとキミの手を 探してんだ
 
‘いつかきっと いつかきっと’って
 
悲しみをそっと飲み込んで うたいたいんだ
 
 
 

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*1:spoonのまほやく特集は本当に素晴らしいので、続きは是非買ってください

*2:https://mahoyaku.com/special/aj2020/

*3:まほやくの都志見先生は、親愛の証拠を「手を繋ぐ/握る」で表す傾向があるようです